はじまりの季節 — 第9話
【35歳・独身の休日】何もない週末と孤独からの脱却|オソコイ 30代の恋愛体験ストーリー
主人公: 37歳 / 物流管理
検索窓に打ち込んだ本音
日曜日の午後5時。 部屋には、ノートパソコンから流れるYouTubeのゲーム実況動画の音声だけが響いていた。
37歳の物流管理職、啓介。 金曜日の夜は「やっと休める」という解放感に包まれていたはずだった。しかし、土曜日を丸1日寝て過ごし、日曜日の午後になると、決まって重苦しい虚無感が胸にのしかかってくる。
この週末、自分は誰かと一言でも言葉を交わしただろうか。 コンビニの店員に「袋はいりません」と言っただけだ。それ以外は、ずっと一人で画面を見つめていた。
ふと、動画を一時停止する。 静まり返った6畳1間のアパート。冷蔵庫のモーター音だけが異様に大きく聞こえた。
スマートフォンを手に取り、無意識のうちにブラウザを開く。 検索窓に、ポツリポツリと文字を打ち込んだ。
「休日の過ごし方 独身 男 30代 寂しい」
検索結果には、似たような境遇の男たちの悩みが並んでいた。「趣味を見つけろ」「外に出ろ」といった正論のアドバイスが目に付く。 それができれば苦労はしない。37年間、これといった趣味もなく、一人でいることに慣れきってしまった人間に、いきなり「アクティブになれ」というのは無理な話だった。
見えない誰かとの共通点
「インドア派でも出会える」 検索結果をスクロールしていると、ふと目に留まった広告があった。それは、真面目な出会いを謳うマッチングアプリだった。
今までなら「自分には縁がない」とスルーしていただろう。だが、この圧倒的な孤独感から少しでも逃れたいという思いが、啓介の指を動かした。
アプリをダウンロードし、年齢確認を済ませる。 プロフィールの趣味欄で手が止まった。「読書」や「映画鑑賞」と書くのも気が引けた。結局、素直にこう書いた。
「休日は家で動画を見たり、のんびり過ごすことが多いです。外に出るのも好きですが、家で一緒にまったりできる関係に憧れます」
背伸びはしない。37歳のありのままの自分を書いた。
アプリの中で、自分と同じように「インドア派」や「休日は家でのんびり」というコミュニティに参加している女性を探してみた。 驚いたことに、そこにはたくさんの女性がいた。休日に無理をして外に出るのではなく、家で穏やかに過ごしたいと願っているのは、男である自分だけではなかったのだ。
日曜日の夜が変わる
その日の夜。 夕飯のカップ麺にお湯を注いでいた時、スマートフォンが短く振動した。
アプリからの通知だった。 「いいね!が届きました」
慌てて画面を開くと、同い年で事務職をしているという女性からの「いいね」だった。プロフィールには「週末は家で猫の動画を見て癒やされています」と書かれている。
胸の奥が、ほんの少しだけ温かくなるのを感じた。 すぐに「ありがとう」を返し、メッセージを送る。
『はじめまして。僕も休日は動画ばかり見ています。猫、可愛いですよね』
送信ボタンを押す指が、少しだけ震えていた。 数分後、彼女から返信が来た。
『はじめまして! 動画を見ていると、あっという間に1日が終わっちゃいますよね(笑)』
たったそれだけの、何気ないやり取り。 しかし、啓介にとっては、この週末で初めての「人との会話」だった。
月曜日の朝を、いつもより少しだけ軽い足取りで迎えられそうな気がした。 休日の過ごし方は、まだ変わっていないかもしれない。でも、この寂しさを共有できる誰かが、画面の向こうにいる。
それだけで、37歳の日常は、確かに色を変え始めていた。
30秒でわかる!
あなたの「オソコイ(遅恋)タイプ」診断
いくつかの質問に答えるだけで、あなたの恋愛が遅れた原因を分析し、一番共感できる「あなた向けのストーリー」を診断します。