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はじまりの季節 — 第22話

【35歳・VTuberオタクの婚活】趣味を隠すべきか?オタク婚活の現実|オソコイ 30代の恋愛体験ストーリー

3分

主人公: 35歳 / 品質管理(メーカー)

趣味オタクVTuber自己嫌悪

第一章:推し活と現実の乖離

金曜日の夜23時。 デスクワークの疲れを引きずって帰宅した俺を出迎えるのは、暗い部屋と、デュアルモニターの右画面で元気に喋るVTuberの配信画面だけだ。

「よし、今週もお疲れ様! ナイパ!」

俺は手慣れた手つきで赤いスーパーチャット(1万円)を投げ、コメント欄に流れる自分の名前と、推しが名前を呼んでくれるその数秒のやり取りに満足感を得ていた。 推しのVTuberの配信を追いかけ、休日はアーカイブを消化する。それがここ数年の俺の「日常」であり、唯一の癒やしだった。

しかし、画面が暗転し、ふとモニターに反射した自分の顔を見た瞬間、強烈な虚無感が襲ってきた。

(俺は、35歳にもなって何をしているんだろう)

推しは「みんなのおかげだよ!」と言ってくれるが、推しの人生が前に進む一方で、俺自身の人生は完全に停止している。 婚活を始めようとアプリに登録し、少しずつ外見を変え、なんとか女性とデートする機会は得られた。だが、根本的な部分で、俺は大きな問題を抱えていた。

第二章:趣味を隠す息苦しさ

週末のカフェデート。 アプリでマッチングした保育士の女性との会話は、最初は穏やかに進んでいた。しかし、その質問は突然やってきた。

「休日は、どんなことをして過ごされてるんですか?」

背筋に冷たい汗が流れる。 休日は、推しの耐久配信を12時間ぶっ続けで見ていました。たまにX(旧Twitter)でファンアートをRTして過ごしています。 ……そんな真実を、目の前の小綺麗な女性に言えるわけがない。

「えっと……映画を観たり、たまにカフェ巡りをしたり、ですね」

引きつった笑顔で、俺は無難極まりない嘘をついた。 「へえ! どんな映画が好きなんですか?」と無邪気に深掘りされ、最近アマプラで適当に流し見しただけの洋画のタイトルを絞り出す。会話は上滑りし、相手の目を見るのがどんどん苦痛になっていった。

(映画なんて見ない。本当は、VTuberの配信の話がしたい。でも、そんなことを言えば「キモい」と引かれるに決まっている)

趣味を隠して、自分を偽って、もしこのまま付き合えたとして、俺は一生この嘘をつき続けるのか? デートからの帰り道、俺の心の中には猛烈な疲労感と自己嫌悪だけが残っていた。

第三章:「vtuber オタク 婚活」の検索

その日の夜、配信を見る気にもなれず、俺はベッドに寝転がってスマホの検索窓に「vtuber オタク 婚活」と打ち込んだ。

出てきたのは、同じように趣味と婚活の狭間で悩む男たちの悲鳴と、それに対する辛辣な現実だった。 『30代でVTuberにスパチャしてる男とか無理』『趣味を否定されたくないなら結婚は諦めろ』

やはりそうか、と絶望しかけた時、ある記事の言葉が目に留まった。 『オタクであることを隠して婚活するのは、最もコスパが悪い。最初からオタク趣味を許容してくれる、あるいは同じオタク趣味を持つ相手を探すべきだ』

記事によれば、一般の婚活アプリではオタク趣味はマイナスに働きやすいが、「オタク特化の結婚相談所」や「趣味を理解してくれるアドバイザーがいる相談所」を使えば、最初から条件をオープンにして戦えるという。

(……隠さなくていいのか?)

自分を偽って「普通の男」を演じるから苦しいのだ。VTuberが好きなら、それを受け入れてくれる場所で戦えばいい。

エピローグ

「休日は、YouTubeの配信を見たりしています。実はVTuberが好きで……」

次の出会いの場。俺は覚悟を決めて、少しだけ自己開示をしてみた。 相手の女性は少し驚いた顔をした後、「あ、私も実はゲーム実況とかよく見るんです」と笑ってくれた。

もちろん、全員が理解してくれるわけではない。 でも、趣味を隠して嘘をつく息苦しさからは、確実に解放された。

推し活も大事だ。でも、自分のリアルな人生も進めなければならない。 VTuberオタクの婚活は決して簡単ではないが、「ありのままの自分」を受け入れてくれる場所を探す勇気さえあれば、きっと光は見えてくるはずだ。

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